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2018/01/30

第5回 来たるべきタイミングを図る

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ここまでの連載で、テクノロジーの視点から経済や社会のシステムを考えることの重要性を述べてきました。

しかし、テクノロジーが新しく、最先端であるほど良いかというと、必ずしもそうではありません。
なぜなら、ある技術の価値は、時間と共に大きく変わってしまうからです。
当時の社会には必要とならない技術であったり、古い技術になってしまったり、理由は様々ですが、来るべきタイミングで社会に提供しなければ、それは「無駄になる努力と役に立たない知恵」となってしまうのです。

最終回となる今回は、テクノロジーを提供するタイミングについて、
過去の偉人の失敗例をふまえつつ、どのような行動をしていけばよいのかについて考えていきます。

  1. テクノロジーの導入には適切なタイミングがある
    ~「天才科学者」二コラ・テスラの悲劇~
  2. テクノロジーを提供するタイミングを見極める方法

テクノロジーの導入には適切なタイミングがある
~「天才科学者」二コラ・テスラの悲劇~

天才科学者、ニコラ・テスラをご存じでしょうか。

オバマ前大統領は、2010年にワシントンのアメリカン大学で行った演説で、「アメリカは移民が作った国」と述べ、その代表的人物を4人挙げましたが、その中の一人に入る“偉人”です。
(ちなみに演説では、科学革命を行ったアインシュタイン、発明を行ったニコラ・テスラ、鉄鋼王の・カーネギー、グーグル創業者のセルゲイ・ブリンが代表として挙げています。)

テスラは今日の生活の基礎となる無線やラジオ、放電照明、無線操縦などの多くの発明を行いました。
交流電力システムの生みの親でもあり、直流(電力)システムの貢献者であるエジソンと対立・決別したことから、“エジソンの最大のライバル”と称されます。
(『知られざる天才 二コラ・テスラ』(新戸雅章著・平凡社新書))

彼はまさに”時代が追いていかれるほどの天才”でした。
それは、彼の発言を聞けばわかります。

「ポケットに入れて持ち運べる安価で操作の簡単な装置によって、海上でも陸上でも受信でき、世界のニュースや、ある目的に合った特別なメッセージが伝えられるようになるだろう。
こうして地球全体が、互いに反応し合う巨大な頭脳になるのである。
わずか100馬力の施設一つで、何億もの機械器具が操作できるため、このシステムは実質的には計り知れない能力を発揮しうるし、情報伝達は大幅に簡易化され、費用も安くなるに違いない」
(『未来に先回りする思考法』(佐藤航陽著・ディスカヴァー・トゥエンティワン))

そしてそれ故に彼の発明には、現代では当たり前となっていても評価されない技術が多くありました。

1890年代末、40代前半のテスラは、新たなテーマとして無線による電力の送電を選びました。
電気エネルギーを無線で送受信できれば、(エジソンが普及を行っていた直流電流装置で課題となっていた)送電コストや送電線の建設コストを大幅に削減できるうえに、すぐにでも世界中の人々が電気を使えるようになる―
さらにその先に情報伝達のシステムを夢見て、“大陸間の無線通信”を目標に発明に着手しました。

しかし、テスラの無線送電技術への挑戦は不完全におわりました。
それは、グリエルモ・マルコーニによって、モールス信号が大西洋を越えて通信可能となったことや、発明の意義を十分に理解してもらえず、資金提供を十分に受けられなかったことが理由です。
現在の私たちにとって、無線技術は生活を支える技術ですが、当時の人々にとっては“無用の産物”だったのです。

適切なタイミングで技術を提供しなければ、それがいかに誕生が運命づけられている技術であったとしても、普及も歓迎もされません。
(『未来に先回りする思考法』/佐藤航陽著・ディスカヴァー・トゥエンティワン)

テクノロジーを提供するタイミングを見極める方法

テスラの例で、未来を読める「だけ」では意味がなく、タイミングよくリソースをそろえる必要がある事が必要であることが伝わったでしょうか。

では、その適切なタイミングを見極めるにはどのような手法をとればよいのでしょうか?

書籍の中では、以下のポイントが複数の章に渡って書いてあります。

1.長期的な視野で物事を捉えると、現在の見え方が変わってくる

2.意図的にトライアンドエラーを繰り返す

3.ロジカルシンキングの考え方を疑う

4.意思決定に合理性を求めない

ポイントは今の自分の能力に基づいて意思決定しないということです。

佐藤さんの言葉で言うとパターンを信じ、自分の能力と五分五分で判断するのです。

なぜなら、現在の認識と1年後の認識では、知識や経験から見える景色が大きく変わります。

未来の方向性をうまく見極められるか、そしてそこに身を委ねられるかが、未来で立ち回り方を決めていくのです。

現在と未来では、見えている景色がちがう

【まとめ】

  • 技術を普及させるにはタイミングを読むことが重要
  • 未来の方向性を考え予測したうえで、バッファを設けて準備する
  • 自分の今見えている思考や視界だけではなく、未来の方向性に賭けることが大切
未来予測の技法

時代を先読みし、チャンスを生み出す 未来予測の技法

著者:佐藤航陽
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
ISBN:978-4-7993-2211-6

Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4799322117/
D21サイト:http://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799322117


【連載一覧】

<第1回 佐藤航陽流「未来予測の技法」>
<第2回 システムを「原理」から考える~イノベーションの本質とは~>
<第3回 テクノロジーは人間の敵なのか?>
<第4回 合理化の罠>
<第5回 来たるべきタイミングを図る>

カテゴリ

応用科学

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