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2018/01/30

第1回 佐藤航陽流「未来予測の技法」

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仕事においても自分の将来に対しても、自身のやりたいことを実現するためには、「未来をどう読むか」ということが一つの大きなファクターになります。
しかし、数年後の未来を予測することは容易なことではありません。

一方で、数年後の未来が”見えている”人たちがいます。
現在成功を収めている経営者やビジネスマンです。

彼らは一体どのように未来を予測しているのでしょうか。
その手法について、株式会社メタップスの代表取締役である佐藤航陽さんの新刊『時代を先読みし、チャンスを生み出す 未来予測の技法』をベースに、連載でご紹介いたします。

99.9%の人は未来を見誤る

―飛行機の実現までには百万年から一千万年はかかるだろう

1903年にニューヨーク・タイムズがこの記事を掲載してわずか数週間後、ライト兄弟は人類で初めて空を飛び、この予測を覆しました。

同様に、野心に満ちた人々が宇宙船の開発にとりかかると宣言したとき、多くの人は「宇宙船? そんなものは夢のまた夢だ」と言ったそうです。

現在日本で2800万人近いユーザーが使用するFacebookに対して、数年前まで「日本人には実名で登録するSNSははやらない」と言っていた人は、少なくありませんでした。

今では多くの人が使っているiPhone にしても、発売当初は「おサイフケータイが使えない」「赤外線がないなんてありえない」などの理由から、はやらないという意見が多数派でした。

多くの人は、ほんの数年先の未来であっても読み間違えてしまうのです。

未来を見誤る原因は「思考法」にある

未来を読み間違える原因、それは今目の前で起きていることから将来のことを考えていることにあります。

現在の景色から、それぞれの技術や製品を独立した事象として捉えると、未来予測はだいたいにおいて外れてしまいます。
なぜなら、現実は人間が認知できないほどの膨大な要素に溢れており、それらは互いに影響し合って社会を進化させているからです。
それらをすべて把握することは、人間の脳の性能では不可能です。

一方で、わずかながらではありますが、驚くほどの先見性を発揮して大きな成果を上げる人たちもいます。
代表的な人を挙げるとすれば、やはりスティーブ・ジョブズでしょうか。
ジョブズは、1980年代からiPodやiPhone(スマートフォン)を持つ未来を予言し、ロードマップに描いていたといわれています。

彼らには一体どのように未来が見えていたのでしょうか?

未来をあるパターンで捉えている人は0.1%しかいない

未来に先回りすることができる人たちは、残りの99.9%の人とはまったく違った思考法を用いて、未来を見通しています。
両者を分けているのは、(社会が進化する)パターンを認識する能力です。

2000年代後半、Google が自動運転車の開発をはじめたとき、「なぜ、検索エンジンの会社が?」と不思議に思った人は多かったと思います。

検索エンジンだけを考えていても、自動車との関係性は見えにくいでしょう。
では、インターネットという技術の持つ性質と「世界中の情報を整理して誰にでも利用可能にする」という彼らのミッションを理解していれば、どうでしょうか?
このふたつの事象は、ひとつの共通した方向性に乗っているように見えてくるのではないでしょうか。

インターネットは電気と同様に、時計や車など様々なデバイスに宿ってはネットワークに取り込んでいく性質を持っています。
Google からすれば、「自動車を通して情報を取り込み整理すること」は、「PC上に広がる情報を、検索エンジンを通じて取り込み整理すること」の延長線上にあったのです。

1つの事例ではなく…

先見性のある人々は総じてテクノロジーに理解が深く、経済、人の感情などの複数の要素を把握し、社会が変化するパターンを見抜くことに長けていました。
ひとつひとつの事象を独立したものとして考えるのではなく、長い時間軸から社会の進化のパターンに気づき、一つの流れとして捉えることで意思決定をしていたのです。

テクノロジーへの理解によって未来の方向性を見出す

社会の進化のパターンは、いくつかの寄与の大きい要素に分けることで、より予測しやすいものとなります。

いまさら効けないビットコイントブロックチェーン
ビットコインについて、技術面から実際の投資まで分かりやすく解説されています

例えば、現在知名度が上がってきているビットコインは、
マイナーや投資家が利益を得ることができ、
ブロックチェーン技術などの興味深く信頼度の高いテクノロジーを使用しており、
参加する人の報酬システムを明示することによる自由主義的な思想をもっているため、
未来を見通す要素を持っている人にとって、現在の盛り上がりは必然の結果だと感じているでしょう。

詳しい要素分解の内容は、『お金2.0』(佐藤航陽著・幻冬舎)や『未来に先回りする思考法』(佐藤航陽著・ディスカヴァー・トゥエンティワン)を読んでいただきたいですが、
「テクノロジー」の要素は、重視する人が一番少ない要素でありながら、パターンを認識するにあたって最も重要な、まさに“穴場”要素です。

それは大きく2つの理由が挙げられます。

ひとつは、テクノロジーは急速な変化を伴うものだからです。
自然や、生命体である人間がごくゆっくりとしか進化しないのに比べて、人工物であるテクノロジーは生物としての(物理的な)制約を受けないため、急激に進化していきます。

そしてもうひとつは、テクノロジーの進化は似たような連鎖を起こすため、パターンを認識しやすいからです。
例えば電気は、電球の発明(個人使用)から始まり、発電機の発明、送電技術の発達(テクノロジーの発展)が起こり、それが電車などの交通の発達や他の家電への普及(人やモノ同士の通信)につながりました。
これは、現在のインターネットの発明から普及する流れと重ね合わせることができます。

進化のスピードが急速に上がった現代においては、テクノロジーに焦点を当てることが、社会全体の構造を理解する一番の近道です。
そのため、第2回以降は、テクノロジーを軸に未来予測の方法について掘り下げていきます。

【まとめ】

  • 社会の進化のパターンを捉え、その流れを「線」として考える事で未来を正しく予測できる
  • パターンとして読みやすく、スピード感のあるテクノロジーが、未来予測に最も重要な要素である

未来予測の技法

時代を先読みし、チャンスを生み出す 未来予測の技法

著者:佐藤航陽
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
ISBN:978-4-7993-2211-6

Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4799322117/
D21サイト:http://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799322117


【連載一覧】

<第1回 佐藤航陽流「未来予測の技法」>
<第2回 システムを「原理」から考える~イノベーションの本質とは~>
<第3回 テクノロジーは人間の敵なのか?>
<第4回 合理化の罠>
<第5回 来たるべきタイミングを図る>

カテゴリ

応用科学

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